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zoom RSS 折々の雑感87 「黒保根町の石造物」を聞きに行く

<<   作成日時 : 2015/03/26 00:07   >>

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 3月22日(日)に「黒保根町の石造物」という講演会を聞きに行きました。

 正式には「平成26年度黒保根地区石造物調査結果報告会」というようです。会場は桐生市黒保根町山村開発センター(桐生市役所黒保根支所、昔の黒保根村役場です)、桐生市教育委員会文化財保護課の主催によるものです。講師は池上悟(立正大学文学部教授)氏です。
 講演では平成26年に立正大学と文化財保護課が黒保根町上田沢地区で行った石造物調査の成果が報告されました。調査結果をもとに当該地区における近世の墓石の特徴や墓石形状の変遷などについて池上教授が解説されました。調査時に撮影した墓石の写真をスライド上映しながらの解説でした。これに加え、医光寺の六地蔵石憧と常鑑寺の梵鐘の紹介、解説がありました。

 現在、都市部では墓石の整理が進められており、近世の墓石、とくに初期のものは現存するものが少なく、古い墓石の調査は年々難しくなっているそうです。個人の墓から家の墓へと形式が変わり、先祖各個人の墓をまとめて「○○家先祖代々の墓」というように一つの「家」につき一つの墓石を建てるというのが、現代に主流の墓のあり方であり、このため古い墓石はしだいに処分される傾向にあります。こうした傾向は、昔の人々の生活や当時の社会を知る上で墓石は重要な手がかりになる、墓石も文化財である、などといった認識が一般には欠けていることの証しであると池上先生は話されていました。それに対し黒保根町地区では古い墓石が比較的良好な状態で保持されており、この点で貴重であるとのお話しでした。
 報告は、黒保根町上田沢地区における墓石調査の結果をもとに行われました。まず始めに墓石型式の解説がなされ、当該地区における墓石型式の年代ごとの変遷をまとめたグラフや各墓石の図、写真などの資料が提示されました。参考として池上先生が過去に他地域で行った墓石調査の成果なども合わせて報告されました。
 今回の墓石調査によって当該地区には中世から近世初期に造られた廟墓形(石殿、仏神を祀る社を模した形状の墓)の墓石が数多く現存していることが判明したそうです。
 特徴的な墓石の写真を示しながらの説明で、よく見ると、屋根や塔の形状をはじめ墓石の意匠、デザインには種々のバリエーションがあり、なかなか面白いものだと思いました。その意匠にはそれぞれの地域ごとの石工のくせや系統などが反映され、地域性が見られるようです。
 年代ごとに墓石の形状を比較すると、古い墓石ほど意匠が複雑で凝ったものが多く、新しい年代になるにしたがい加工が簡素になる傾向があるとのことでした。墓石が現在のような方柱形になったのは幕末くらいからだそうです。

 庚申塔(とくに青面金剛像)や馬頭観音などの石仏を見るのは、そこに彫られた像容の違いを見比べるのが面白く、以前から好きでしたが、墓石には今までまったく興味がありませんでした。「黒保根町の石造物」というタイトルから、そうした類の石造物の解説を期待していました。しかし、今回の講演会では、石仏の話はなく、正直に言ってやや期待外れの感はありました。タイトルだけを見て勝手に期待した私がいけないのかもしれません。
 ただ、これまで興味のなかった墓石調査・研究のあらましを、ほんの入り口ではありますが、垣間見ることができました。さらに江戸時代の墓石を考古学的な手法で調査し分析するという研究分野があることを知ることもできました。これらの点で良かったかなと思います。おそらくこれからは墓地に立ち寄った際に、石仏のみならず古い墓石にも目が向くのではないかと思います。

 余談になりますが、墓石や石仏、仏具などに関わる研究は、昔から「老人考古学」などと揶揄され、年寄りが取り組むものと相場が決まっていたと池上先生が講演の冒頭で話されました。これにはちょっと笑ってしまいました。確かに会場を見渡すと、お年を召された方が大半です。そのなかに詰襟の制服を着た数人の高校生の姿(歴史関係のクラブで参加していたのでしょうか)が見られました。墓には当分の間、縁遠いと思われる若い彼らが墓石の話を聞いてどう感じ、何を思ったのか、聞いてみたい気もしました。

 参考 桐生市文化財保護課のページに当講演会の記事があります(2015年3月25日アクセス)。

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